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サイゾー株式調査隊

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 2008年5月 

2008.05.17

五輪景気で注目度が上がる中国株式市場の「狙い目」とは?

チベット問題の余波から世界各国で聖火リレーが混乱に陥るなど、問題も指摘される北京オリンピックだが、8月8日の開幕を目前にして、成長著しい中国経済への注目度は増すばかり。そこで今回の「サイゾー株式調査隊」では、中国株式市場の動向を探った。

中国株情報を日本の投資家に配信する亜州IR株式会社代表・又井郁生氏は、こう語る。

「まず、中国株というと中国本土市場に上場している株と香港市場に上場している株の2種類がありますが、日本人が投資している中国株の9割は香港市場に上場する株です。これまで香港の企業が多く上場していた香港市場で、最近では中国本土の企業も株式を公開しています。その香港市場の動きを探るためには、外国人投資家の資金の流れを追う必要があります」

そこで重要になってくるのが、アメリカの株式市場の動向だ。

チベット問題で、世界から厳しい目が向けられているが、それらは中国市場にどんな影響を及ぼすのか?

「今年年初から3月にかけて、香港市場、本土市場とも大崩れしましたが、大きな原因のひとつにサブプライムローン問題に端を発するアメリカ経済の失速があります。ただし、サブプライム問題も3月いっぱいで収束したという見方が有力であり、楽観視はできませんが、今後、香港市場などの新興市場も復活するのではないかと思います」

では、中国の内部要因から見た場合、中国株の先行きは?

「今、中国経済で問題になっているのは、やはりインフレ。原油高や穀物高による物価上昇が、製造業、メーカーの成長の重しになっているのは事実。一方で、チベット問題でみそをつけ、一部先進国で開会式のボイコットの動きが見られるなど、成功に懸念も見え隠れする北京五輪ですが、今のコンセンサスでは、大会そのものは開催される予定なので、悪いイメージは残ったとしても、消費マインドに対してはプラスに働くでしょう」

一方、「中国経済、中国株は、政治の動きを知っておかなければ見えてこない」と言うのは、中国をはじめ広くアジアビジネスのコンサルティングを行っている宇田川敬介氏。

「まず、中国株をやろうと思ったら、どうやって中国の株式市場ができたのかを知らなくてはいけません。株式市場を作る際、もともと中国は共産主義ですから、企業といえば国営企業しかない。そこへ株式市場を作って外資を導入したら、外国資本が共産党員の企業の社長をクビにできてしまう。そんなことは許されないという議論が巻き起こりました。それでできたのが、A株とB株という考え方。A株が買えるのは中国人だけが取引できる市場で、B株は外国資本も参入できる市場。中国政府は、企業の議決権を占めるのは常にA株になるようにし、政府がこれをコントロールできるような形にしました。外国資本も導入できるB株は、株主としての影響力を行使できないようにしたんです」

インサイダー天国ってホント!?

このように世界の標準からすると、独特なシステムで成り立っている中国株式市場。「勢いよく回っている共産党というコマの上に建てられたのが今の中国の資本主義」(宇田川氏)というから、中国株の動向は共産党の趨勢、意向を無視しては語れない。宇田川氏が続ける。

「国内のあらゆる情報を駆使して、共産党が合法的に儲けるためにあるのが中国の株式市場。たとえば、私が知っている話だと、以前、中国の某政府高官がアメリカに行って、中国の政府系の有力資源会社の宣伝になるような演説をしたことがあったのですが、この直前に高官は腹心に資源会社の株を上海市場で大量に買わせていました。もちろん、株式市場で資源会社の株は急騰し、ボロ儲けです。また別の政府高官は、人民解放軍の物資を一手に調達する会社の株を買い占めて、その後に人民解放軍が国民の物流をコントロールする政策を発表したこともあります。気功集団の法輪功が大弾圧を受けた直前に、中国の警察庁長官に当たる人物が、親族に法輪功関係の株を売り払うよう指示していたこともありました」

日本の証券取引等監視委員会のような株式市場の取り締まり機関はもちろん中国にもあるが、機能はしていない。

「そうしたものがあっても所詮は共産党の組織ですから、共産党の大幹部を取り締まるなんてできません。中国の証券監視委のトップが共産党のランキングで90位ぐらいだとしたら、1位から89位までの人は、市場で何をやっても摘発されないのが現状です。ただ、インサイダー取引で儲けたといっても、彼らもやっぱり違法行為だという認識はある。一部の幹部はそうした不正を見つけては、口止め料として賄賂をもらっているのです。元上海市長で先日、収賄と職権乱用の罪で懲役18年の刑が確定した陳良宇も、そうした賄賂を山ほど取っていたのです」

まさに「インサイダー天国」といった趣だが、そうした悪の取引に手を染めているのは、共産党の幹部ばかりではない。

「以前、上海の証券取引所の視察に行ったことがあるんですが、投資家の注文をコンピュータの端末に入力している取引所の職員の手つきが不自然だったので、何をしているのか聞いてみると、『自分の注文を入れているんです』と平気で言うんです。つまり、相場が上がりそうだからと自分の分の注文を入れる。株の購入代金を払いもせず、しかも、その買い注文は後で取り消しもできるとか。『いくらなんでもおかしいんじゃないの?』と私が言うと、『そうかもしれないけど、まあ、特権でしょう』と言われました(笑)」

あくまでこれは03年時点の話。今はないことを信じたい……。

五輪、万博景気が見込める中国市場の銘柄は?

今後の注目として「航空」と「飲食」を上げる又井・亜州IR代表。

さて、不正が横行していようとも、株式市場は株が上がっている限り、儲けのチャンスはある。中国では目前に北京五輪を控えているほか、10年にも上海万博が行われる予定で、今後も景気は過熱し続けるという見方が有力だ。では、どんな銘柄が有望だろうか? 前出の亜州IR・又井氏が解説する。

「ピックアップしたいのは、消費セクターで、本来、業績がいいはずなのにもかかわらず、特殊な要因で株価の低迷を強いられた企業です。まず思いつくのは、原油高によって輸送コストの上昇懸念で暴落していた航空セクター。原油価格は高止まりしたままですが、それを補って余りある新たなプラス要因として、最近の人民元の上昇があります。人民元が上昇すれば、燃料の調達コストが下がります。また航空会社は航空機を購入するのに外貨建てで大きな借金をしていますが、人民元の上昇で、それも目減りします。また北京五輪が開催されれば、世界中から旅客需要も増加します。香港市場に上場している航空会社は3つありますが、その中で最も有望なのは中国国際航空<銘柄コード・753>。同社は、北京空港に拠点を置いているので、北京五輪の効果を最も受けやすいのです。

消費関連でもうひとつ有望なのが食品。食品関連銘柄も、穀物高の影響で、今年の第一四半期にだいぶ売り込まれた。日本だと原材料価格が高騰すれば、消費価格も上昇しますが、中国では価格統制が行われているので企業が勝手に値上げできないのです。けれども、物価上昇も最近になってペースが落ちてきて、食品メーカーの商品値上げに対する制限も緩和されるだろうという見方が強まっています。また、そもそも政府が価格統制を行うこと自体にも内外から批判が集中しているので、いずれ中国政府も価格統制を解除せざるを得なくなるでしょう。市場では、夏場にかけて政府も食品各社の値上げをするだろうという見方が強まっており、今、株の買い戻しが進んでいます。この動きに乗っかってゆくのがいいと思います。具体的な銘柄としては、食品・飲料大手グループの康師傅控股(ティンイー)<322>。そして、牛乳大手の蒙牛乳業<2319>がいいと思います」

やはり確実に伸びるのは、消費セクター

さて、辛口批評のコンサルタント・宇田川氏にも、有望な銘柄の見分け方をお願いしてみた。宇田川氏が注目しているのは、小売業だ。

「日本人はほとんど知りませんが、中国では省をまたいだ物流が基本的にできません。省境が国境のようになっていて、人の出入りも自由ではありません。たとえば大連でビルを建てる際、省外から労働力を持ってきてはいけないことになっています。省境の物流も厳しく制限されており、できるのは基本的に人民解放軍だけ。国内の物流でも省を挟んでいれば、外国との貿易のような価値があります。だから、沿海部で魚を獲って、飛行機で日本に輸出し、それをまた中国の内陸部に輸出するなんていうビジネスすら成り立つのです。

ところが、最近では、地方の人にも都会の豊かな暮らしがインターネットを介して知られるようになってきた。そうなると、地方の人も、都会で出回っているようなモノが欲しくなってくる。政府もそれを抑えきれなくなる。今後は、デパートやスーパーマーケットのような小売店が、地方にもどんどんできるようになる。この流れで儲けられるのは、ノウハウを持っている既存の小売業者でしょう」

又井氏も宇田川氏も、消費セクターが伸びるという点では一致している。中国といえば、日本人はこれまで製造業の生産拠点という見方ばかりしてきたが、今後の中国経済でスポットを浴びるのは、中国国内での内需拡大ということになりそうだ。

経済成長を続ける中国、その<中国株>を買うには?
多くの株初心者の方に支持される<松井の良さ>とは?

2008/05/17UP

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