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サイゾー株式調査隊

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 2008年11月 

2008.11.17

今日の株価低迷を予想できた人はいたのか? 今後、市場はどうなるのか?

本連載は、残念ながら今回が最終回。そこで総まくりとしてやっておきたいのが、「2008年株価予想の検証」だ。08年は前年に発覚したアメリカのサブプライムローン問題の影響が本格的に波及した年だった。年初に1万5000円台で始まった日経平均はジワジワと下がり始め、中盤持ち直す動きも合ったが、9月にリーマンブラザーズが破綻し、大荒れの展開に。10月前半についに1万円割れし、その後、下げ足を早めて、一時は7000円割れまで行き、市場関係者の肝を冷やした。それでは、各専門家の株価予想記事は、今日の波乱を予期できたであろうか。

本調査隊は、07年暮れから08年始めにかけて、主要雑誌に掲載された08年の株価予想記事を調べてみたが、ほとんどがハズレという結果に終わっている。一例を挙げてみると……。

「08年は日本株が面白い年になるだろう。筆者は08年末に日経平均は1万9000円まで上昇すると予想している」(大和住銀投信投資顧問シニアファンドマネージャー・窪田真之氏/「エコノミスト」07年12月25日号)

「日経平均株価は08年1月に1万5000円程度まで下落した後、上昇に転じます。秋から年末にかけては1万8000円台まで到達するでしょう」(証券アナリスト・植木靖男氏/「FRIDAY」08年1月4日号)

楽観的な予想は年中盤に入っても変わらず。「週刊朝日」(5月2日号)で、日興コーディアル証券国際市場分析部長・馬渕治好氏は「米国景気は年末に回復するとみる。(中略)日本では輸出企業を中心に業績の先行きに楽観論が台頭しそうだ」として年末の日経平均を1万7000円とした。

その他の記事を見ても、名だたる相場関係者のほとんどが予想を大きく外した結果となったが、そんな中、唯一、今日の事態を的確に予想していたのが、グローバルリンクアドバイザーズ代表戸松信博氏。

サブプライムショックの“真打ち”として起こった、リーマン・ブラザースの破綻劇

「サブプライムローンショックは今後も続きます。(中略)今後、世界的に株価がクラッシュする場面も考えられます。この先、日経平均株価は1万円割れもあり得る」と「FRIDAY」2月8日号で予言していた。当の戸松氏はこう言う。

「予想した当時は、サブプライムの問題は出ていましたが、表面化している損失は10兆とか20兆円程度と言われていました。しかし、日本のバブル崩壊で失われたお金は、およそ100兆円。今回のサブプライムの問題は日本のバブルと非常によく似ていましたし、アメリカの経済規模はGDPで日本のおよそ3倍。どう少なく見積もっても日本のバブル崩壊と同じぐらいに膨らまないとおかしい、ということを念頭に予想したわけなんです。ただ、当たったと言っても、この相場状況では正直、喜べませんねえ(笑)」

では戸松氏は、来年の相場をどう見ているのか。

「日経平均は、2〜3年程度は上がりにくい状況が続くと思います。今後は1万1000円程度までの反発はあると思いますが、その後、10月のように7000円を割り込む場面もあるでしょう。ただし、長期的に考えれば、この水準は割安感があると思います。1949年に東京証券取引所が再開されて、単純に毎年年末に1回ずつ買い増していったとしても、08年の直近までの平均でおよそ8800円。戦後からずっと買い続けていた人ですら損をするというレベルなんです。74年の高値が5000円台でしたが、そこまで下がるとなると、74年からの日本の経済成長がゼロということになります。それはさすがに売られすぎの水準と考えます」

来年は底値買いをする最後のチャンスかもしれない。現金を確保しつつ、株価の動向に目を見張っておきたい。

円高を考えると、5000円台もあり得る!?

7000円割れの「悪夢」が、来年再びやってくるとの見方も。

さて、今回の取材では、他にも多くの相場関係者の株価予想を聞いている。

「日経平均5000円台もありうる」という非常に厳しい展開を想定しているのは、T&Cフィナンシャルリサーチ日本株情報部マネージャー・本吉亮氏。同氏が言う。

「まず、今のアメリカの景気が底入れするのは、不動産価格や半導体の受注などに改善の傾向が見られてからだと思われますが、現状では下げが加速しているので、来年1年間は景気が厳しいと思われます。また、来年はオバマ氏が大統領に就任しますが、通常、1期目の大統領は、2期目の選挙が近くなる3年目に向けて支持率を高めようと本格的な政策を打ち出してきます。来年1年目のオバマ新大統領が、すぐに全力を尽くすとは思えません。一方、市場はオバマ大統領には期待していますので、思い切った対策が打ち出されないと失望売りが出てくる可能性があります。また、連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを継続して行っていますが、長期金利はあまり下がっていません。理由は10年国債が高止まりしており、現在4%もあるためです。つまりマーケットはアメリカの体制に対して不信感が強く持っているということです。今後、為替がますますドル安円高傾向に振れてゆく可能性があると思います」

では、国内の市場への影響は、具体的にどのように出るのだろうか?

「09年の日経平均についてですが、まず下値から。10月、日経平均が7000円割れとなり、大騒ぎとなりましたが、実は円高が進んでいるので、ドルベースで日経平均を換算すると03年のバブル後最安値の7607円よりも上にあるんです。ドル円相場が今後も円高に傾いてくると考えると、日経平均は6000円割れ。5500円もありうると思います。

日経平均上値は、年末にかけて景気対策が確認できれば、1万4000〜5000円までは上がる可能性もなきにしもあらずですが、上がってもせいぜい1万円前後ぐらいではないかと見ています」

日経平均5000円台もありうるとは、ちょっと衝撃的だが、本吉氏はそんな中でも有望な銘柄はあると言う。

「円高を前提すると、輸入業種にアドバンテージがあるでしょう。たとえば今も円高セールなどをやっている、セブン&アイ・ホールディングスなどの小売業の業績を押し上げる要因となります。あと、商品市況が下がっていることに着目すると、原油価格が下がったことでメリットを享受できる、コストの大半が燃料である空運。さらに来年の9月は、国民の祝日などが重なり、GW以上に大きい大型連休となります。これがうまく旅行需要に繋がれば、HISなどの旅行会社の業績が上向くでしょう。それと、鉄鋼業界で上方修正が相次いでいることにも注目しています。鉄鋼などの素材産業は原材料について製造業の川上にあるので、商品市況が暴落したことで真っ先に恩恵を受けられるのです。また、ゴムも大分安くなっているのですが、同じ理由でブリヂストン、住友ゴムなどにも注目しています」

カギは商圏をアジア全体に広げられるかどうか

大手証券会社所属の某ストラテジストは、こんな見方だ。

「景気の見方としては、金融危機がどこまで実体経済に及んでくるかに注視しています。最近の相場に大きな影響を与えたのが、6日に発表されたトヨタの来年3月期の営業利益予想でしたが、従来の見通しから1兆円も引き下げ、前期比773%減に下方修正したことで、翌日、トヨタ株は売り込まれ、一時ストップ安。あのトヨタがストップ安ですよ。この衝撃は大きいですね。

また、アメリカの10月の雇用統計も予想以上に悪く、失業率は6.5%となり、01年のリセッション(景気後退)時を上回っています。さらに国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通しも下方修正されており、先進諸国は軒並みマイナス成長。世界経済は2.2%の経済成長でしたが、IMFは3%以下の成長はリセッションだと言ってきました。世界経済全体がリセッションしていく中で、株価の上値も重い展開が続くと思われます。

日経平均については、一進一退が続くと思われます。レンジ幅としては、下値は7000円割れ前後、上値は1万2000円前後と見ています。アメリカではオバマ新大統領が新しい政策を打ち出して何とか景気を浮揚しようとすると思われますが、これが景気の下支えにはなるとしても、依然としてサブプライムの問題が景気の足を引っ張るような状況なので、上値は限定的です。

そんな中、動向に注目しているのがアメリカの自動車セクター。米ビッグ3は、現在ボロボロの状況ではありますので、政府に救済策を求めてくる。日本の自動車会社は厳しい展開となるかもしれません。アメリカの景気後退はしばらく続きそうですから、自動車会社だけでなく、輸出産業全般がアメリカ以外の新興国、資源国で稼ぐ方法を考えていかなければならなくなります。非製造業にとっても同じで、アジア全体に商圏を広げられるかどうかがカギとなるでしょう。その意味で注目しているのは、アジア進出に力を入れている吉野家やイオンです」

「回復するのは、来年後半からか」(山崎元氏)

いずれにしても、来年の相場の先行きは厳しいものとなりそうだが、そんな中でも意気軒昂なのが保有資産2億円の先物デイトレーダーでブログ「CFDで世界デイトレ」を開設している三空氏。三空氏は、10月の暴落相場でも売り戦略が奏功し、大きく資産を伸ばせたという。三空氏が語る。

「先日、次期大統領にオバマ氏が就任することが決まりましたが、その後、ダウは2日間で10%ほど下げましたが、この株価を見てもわかる通り、オバマ氏が大統領になったからといっても今後、経済が劇的に好転するということはないと思います。NYダウもジリジリと下げてゆくでしょう。日本株もアメリカと似たような動きになるのではないかと思います。日経平均のレンジ幅は6000円から1万円を想定しています。

私の投資戦略としては、基本的に売り方針です。ダウ先物、英独仏の株価指数先物など、薄く広く長くまとめて売ってゆきたいですね。

そんな中でも個別株については非常に投資妙味の高い銘柄が増えていると思います。たとえば、『優待利回りランキング』を見てみると、驚くほど高利回りの銘柄がゴロゴロしています。ただ、このレベルまで行くと、破綻リスクも織り込まれているので、手を出しにくいというのが正直なところでしょう。そこでオススメしたいのは、バスケット買いです。いくつもの銘柄を分散して買うことで破綻リスクを低減させられます。ただし、利回りが高いからといって、不動産関係などは信用リスクに問題がありますので、推奨はできません」

最後は売れっ子経済評論家の山崎元氏に締めてもらおう。

「率直に言って、来年の景気は悪いでしょうね。今まで稼ぎ頭だったトヨタが大減益。アメリカでも、GMをオバマ政権がどうやって救済するのかしないのかが注目されているくらいで、日米の産業界でこれまで象徴的だった会社が相次いで稼げなくなったわけです。株式市場に次のスター候補が出てくるのはまだ時間がかかるでしょう。

今まではPERベースで日本株の割安さが注目されていましたが、今後、利益がどんどん縮小してゆくので割安さも薄れてゆくと思われます。ただし、PBRつまり、会社が保有する資産に対して株価はまだ割安と言えるでしょう。

来年いっぱいぐらいはアメリカの不動産価格が下がるだろうといわれていますので、来年の前半ぐらいが、世の中がもっとも暗く見える時期だと思います。日経平均の見通しとしては、来年の前半は前回安値をもう1回更新し、7000円割れもありうるかもしれませんが、後半はプラスの材料も見てゆこうということになり、9000円台ぐらいになるのではないでしょうか。景気回復自体は、何年もかからないと思いますので、来年は最後の仕込みのチャンスだと思います」

本連載は今回が最終回となるが、株式市場は今後も永遠に続く。今年は波乱の相場となったが、谷深ければ山高しである。読者諸兄の資産運用が実り豊かになることを願ってやまない。

多くの株初心者の方に支持される<松井の良さ>とは?

2008/11/17UP


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