サークルの紹介
生と死が混在し、不条理で退屈な素晴らしき世界
そんな…
隙間から照らす
「希望」という名の光
そばにいて欲しい
オナソラは
「ありふれた現実」
「ありふれた空」
「大人未満」
テーマ・キーワードにした
小説(駄文)
綴る、短い文章の題名は
様々なアーティストの...
2008年8月
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結局、自慢だったマンションは、売られ、私も自分の欲しいものが以前のように当たり前に買えなくなってしまった
自分でバイトをしていたので、学生生活の中では大きな不自由はなかったけれど、苦労している母さんの手前、贅沢品は決して買わなかった
私は、父さんを憎んでいたが、母さんは、父さんを憎んではいなかった。
返さなければならない借金の額は多額で、私と母さんの収入では、気の遠くなる年月がかかるだろう
それでも、母さんは弱音を吐かずに、家で淡々と内職をしている
父さんが帰ってこないかわりに、督促状が毎月家に転がりこんでいた
2008.08.31 22:50:54
父さんは、以前私の家が建っていた場所に、お金がないのに賃貸マンションを建てた
「今は採算がとれなくても、長い目で見ればきっと大丈夫さ」
父さんは胸を張って言っていた
そこまでは良かったが、私が高校三年の頃から、様子が一変した
積み重なった母への介護疲れと、家に帰らない私のせいで、父さんの中で何かが吹っ切れてしまったらしい
毎日毎日酒に浸り、やがて、家に帰ってこなくなってしまった
父さんは、会社を辞めたそうだ…
さらに追い討ちをかけるように
父さんは昔からの友人の連帯保証人をしていた。その人が雲隠れしてしまい、残した借金の肩代わりをすることになってしまった
度重なる不幸は、いつしか、優しい父さんを、がらりと別のヒトへと変えてしまった
2008.08.29 22:56:36
中学時代の傷だらけの日々と、高校時代の遊びに明け暮れた日々
それから月日は流れ、私は猛勉強し、指定校の枠で都内の大学への進学が決まった
母さんは、車椅子の生活にはなったが、日常は大きな苦労もなく過ごしている
私は、度の違うメガネをかけ、この目にも慣れたが、左目は思ったよりも回復しなかった
それでも、私は日々を楽しんで生きている
ただ、私の心境に大きな変化があったとすれば、あいつのせいだろう…
思春期なんて理由で片付けたくないし
私も変わったのだろうが、あいつはもっと変わってしまった
父さんは
変わってしまった
2008.08.28 13:40:19
「母さん。会いたかった…。本当に無事で良かったよ」
私は泣きながら、自分の帰る場所と私を認めてくれる人に再会できたことが嬉しかった
「美香。私もあんたも、生きていることに意味があるんだからね…。これからどんなに辛いことがあっても、私たちは誰かに必要とされて生かされたんだから!だから、今を受け止めて精一杯頑張ろ」
私も母さんも、当たり前のような日常を過ごしていくことは今は困難で、長い時間がかかるだろう
けれど、私たちは生きることに意味を持たせ、互いに負った傷を、前向きに考えていくことにした
怖くはないよ
私は…
生かされた奇跡と
生かされた右目で
未来を見つめる
希望と云う名の未来
2008.08.27 13:40:01
跡形もない私の家のそばに、以前父さんが住んでいた、平屋の実家があった
我が家より古く汚れた建物は、強い地震にも怯まずに耐え、見事に健在していた
荷物や無事だった家財道具はその家に全て運ばれていた
母もそこにいた
「美香。長いこと会えないでごめんね…」
母さんは泣きながら私に飛びついた
私は母さんの無事を安心して心からほっとした
私にすがる母さんとは対象的に、両足が置き去りになっている光景を見ると、貯めていた涙が、ダムが決壊したように、吹き出してきた
昨日までの私はいない
昨日までの母はいない
これから
進む先は
輝かしい未来か…
薄暗い闇か…
誰か私に教えて下さい
2008.08.26 22:32:56
私は約10日の入院でなんとか、退院することができた
私はわざわざ病院に来てくれた真澄叔父さんに今までの感謝を込め、御礼を言い、迎えに来てくれた父さんと長野から新潟へ帰った
まだ震災の爪痕が残る街並み
私が今まで過ごした街は、まるで夢の中世界であったかのようで…
私の目から見える街の光景は、華やかな彩りではなく、灰色の世界であった
道が舗装されてなかったので、何度も迂回をして我が家へと向かう
久しぶりの我が家は、すっかり片付けられ、さら地になっていた
私は自分の住む家が、無くなってしまったことが酷く悲しくて涙が出てきた
2008.08.25 23:53:19
私はなんとか、回復し、日々の生活がようやく出来るようになった。
靄がかかった片目とは、これからも上手くやっていくつもりである
私は病院のロビーのベンチにもたれ掛かり、ボンヤリとテレビを眺めていた
自分の視点からではなく、客観的に映し出す悲惨な地震の映像は、改めて私を震わせた
穏やかな日常は、こうも容易く崩れ去り、私は長いこと学校にも行っていなかった
私は、思春期真っ只中で、自分が学校へ復活しても、前のように上手くやっていけるか、不安で不安でしょうがなかった
それでも…早く学校へ行きたい!と思っても、体が万全じゃないし、私の秘密を誰にも知られたくない
私は一人ジレンマ
怒りの矛先を誰にも向けられず、ただただ無情に無駄な時間が流れる
2008.08.24 23:51:26
私の体からようやくギブスが外され、私は手錠が取れたような解放間でウキウキしていた。
少なくとも、同じ部屋に1日中いるだけで、参ってしまっていた。
私の唯一の楽しみは、真澄叔父さんがくれた、小さいラジオだった
テレビもあったが、それをマジマジと見る勇気も度胸もなかった
医者に言われて眼帯を外したときは、私は絶望した
鮮明に映る現実と
靄がかかり、霞んだ現実
まるで、私の表と裏を映しているようだった
幸い、鏡に映った私の顔は、普段の私と変わらなかった
それでも…
視野の狭くなった、この世界のなかでは
私の存在価値なんてないんではないだろうか…
病は気持ちまで病ます
私の目も心もすっかり靄がかかっていた
2008.08.23 12:44:18
嫌でもわかるから、揺るぎない事実は知りたくないし、私は父さんから改めて聞くことはしなかった
私の体は、今は固定されているが、無事だった
ただ…
左目がほとんど見えていなかった
父さんは、外で待っていた真澄おじさんと話をし、私に「また来るから」
と言い残して去っていった
真澄叔父さんは、申し訳なさそうに、私の前に戻り
「もうしばらくは安静にするように…とのことだよ。目は、状況次第だそうだ。私もなかなか来れないかもしれないが、仕事の合間にでも美香さんの様子を見に来るから、ゆっくり休んでください」
そう言い残して、去っていった
私は孤独に包まれた、無菌の白い箱のなかで、時が早く過ぎることを願った
2008.08.23 12:42:57
「美香。お前はやはり、母さんの子だな…。自分より他人を優先するなんて」
父さんは少し泣いていた
「美香には、話さないといけないことが、もう1つあるんだ…」
私は、父さんが言おうとしていることが、ハッキリとわかる…
それは他でもない自分が嫌でも分かっていること…
聞いたとしても、変わらない、ただ、酷く辛い現実を神様が私に試練として、落としていっただけ
「美香、お前わかっているのか…」
私が頷くと、
父さんは、悲しい表情でこちらを見ていた
どれだけ長いこと、自分の体と向き合ってきたんだよ
自分の体の変化は、嫌でもわかる
2008.08.22 23:07:36
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