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著者プロフィール

保田 隆明

(ほうだ・たかあき)

ワクワク経済研究所 代表。
テレビ番組コメンテーター、各種執筆などを手掛け、やわらか系エコノミストとして活動中。
http://wkwk.tv
http://wkwk.tv/chou/

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※2007年11月以前の記事は「旧株ごころ/やさしいお金のはなし」にて連載の記事です。

先週は最近話題になっている「内部統制」のお話をさせて頂きました。ちょっと堅苦しかったかもしれませんね。今日は、株式投資における銘柄選びは、女性が彼氏を選ぶことと似ているかもしれない?!というお話です。ちょっとおカタイ内部統制をもうちょっと噛み砕いて、株式投資の銘柄選びにこの論点をどう生かせるかということについて触れてみたいと思います。

彼氏を選ぶ際の基準って、それこそ人それぞれだと思いますが、典型的なところでは大きく2つに分かれるのではないでしょうか。まず、1つ目は“カッコいい”こと。女性なら誰もが羨望の眼差しを向けるようなビジュアルの良さ、ファッションセンス、こじゃれた身のこなし等、そんな要素を併せ持っている男性を求める女性の心は永遠です。もう1つは“誠実である”こと。女性に対していつも真摯に向き合ってくれること、何事にも真面目に取り組む姿勢等は、女性にとって信頼できる男性であることの条件だといえるでしょう。

どちらが好みかは、女性によっても違うでしょう。「両方持ってなきゃダメよ」という人もいるでしょうし、恋愛相手にはカッコ良さを求めるけど、結婚相手だったら誠実さを求めるという人もいるかもしれません。

恋愛における彼氏を選ぶ行動基準を株式投資の銘柄選びに置き換えてみましょう。

まず、カッコイイ企業というのは、ちょっと語弊があるかもしれませんが、ジャスダックや東証マザーズ、大証ヘラクレスなどの新興市場に上場している銘柄や新興市場から東証1部・2部に指定替えされて間もない会社が挙げられます。新興市場銘柄というのは、独自の技術やサービスを武器に事業を興した比較的若い会社が多いので、成長性が高く、株価の変動幅も大きい(上がりやすく下がりやすい)ことから、個人投資家には魅力度の高い投資対象として人気があります(最近は不振で個人投資家が離れてしまっていますが)。インターネットやモバイルコンテンツを主な事業内容としている会社なども多く、わかりやすいし馴染みもあるし、将来の成長性が期待できるし、個人投資家にとってはカッコイイ銘柄に映るようです。

これに対して、誠実な企業の代表格は名門大企業です。名門大企業は、既に規模が巨大化していますから、新興市場銘柄と違って、高い成長性は期待できませんが、そのかわり、安定した成長が見込めますし、なにより安定した企業基盤に支えられています。

カッコイイ企業と誠実な企業の違いを内部統制の切り口から見てみると、一般論として、カッコイイ企業の方が相対的に内部統制は弱いといえます。というのも、カッコイイ企業の代表である新興市場銘柄は、スピード経営で高成長を謳歌できる反面、イケイケドンドンの姿勢は管理機能の充実を脇へ追いやることにもつながり、結果的に、内部統制がおざなりにされてしまう傾向にあります。カッコ良さを追求するあまり中身を磨くのは忘れがち・・・といったところでしょうか。一方、誠実な企業の代表である名門大企業は、人員にもお金にも余裕がありますから、内部統制は相対的に良く整備されているといえます。

最近、新聞紙上を賑わす企業の不祥事が相次ぎました。訪問介護大手のコムスンによる介護保険の不正請求問題や英会話学校NOVAの解約をめぐるトラブルの問題など、いずれも内部統制の欠如が問題を引き起こした原因の一端です。こうしたスキャンダルは、企業のブランドイメージを傷つけるだけでなく、それに起因して顧客離れが進んだり事業の継続に支障を来たしたり、といった形で大きなダメージを受けることになります。株の投資家にしてみれば、株価の暴落という形で大きな痛手を被ることにもつながります。こうした事例を見るまでもなく、上場企業は内部統制をきちんと構築しておくことがいかに大切かということが理解できると思います。

内部統制はカッコイイ企業が弱くて誠実な企業が強いというのは、あくまで相対論であって、新興市場に上場している会社でもしっかりしているところもありますし、また、名門企業であっても弱いところもあります。

では、どうやって、内部統制がしっかりしているか弱いのかを見分けることができるのでしょうか?

それは、来年4月から始まる制度がポイントになります。今まで上場企業については、監査法人が決算書が正しいかどうかの監査を行い、その結果を監査報告書として公表していました。来年4月からは、決算に関する監査報告書に加えて、内部統制に関する監査報告書を公表することになっています。したがって、来年からは、「決算書は正しいけど内部統制には問題がある」といったレッテルを貼られる上場企業が出てくる可能性があるわけです。実際、一足お先に内部統制の制度を導入しているアメリカでは、このような上場企業がたくさん出てきました。

「内部統制に問題がある」とされた途端に何か得体の知れないスキャンダルが飛び出してくるというわけではありませんが、潜在的な不祥事のリスクが相対的に高まるということはいえるわけです。

カッコイイのは大事だけど、中身も重要よね!ということですね。


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