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 まだ知られていないポルトガルの魅力をお伝えします。
 今回は、リスボンとその周辺およびアレンテージョに行ってきました。

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 2006年12月 

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スレッド [34]  追伸:ギタリストの蓮見さんからお便りが  >> 返信元メッセージを表示

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 この回のコラムで、ご案内したギタリストの蓮見さんから、さっそく嬉しいお便りをいただきました。

 氏も今年の1月にポルトガルを訪問して、ロカ岬などを訪れたようです。気になるお天気はどうだったのか伺いましたら、1月というのに気温が20度近く、汗ばむほどだったということでした。


 アーティストの耳には、私では聞こえなかった、大西洋の潮騒のリズムやビートが響いていたのでしょうね。


 さらに、ここで食べた焼きがたいへんおいしかったとの由。わたしも、リスボンの街中で何度も見たのですが、傘など両手が塞がっていて、買い食いができずに残念に思っていました。この写真を見ると、ますます悔しい。次回は必ず食べようと思います。

 8年間ドイツに暮らしたことのある氏は、毎夏のバカンスでどこに行こうかと「地球の歩き方」を活用してくださったファンでもありました。

 ファドに限らず活動の場を広げていらっしゃる蓮見さんを、また生で今度はきちんと入場料のあるところで (-_-;) 聴きに行こうかと思っています。

 蓮見さん、お便りと写真をありがとうございます。


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2006.12.19 11:00:28

 10月19日 9:30

 雨が降っている。昨日コスタ・アズールに行くときは晴れていたが、今日は朝からすこし風もあって肌寒い。バスは、水道橋を見ながら、通勤ラッシュの幹線を進んで行く。4月25日橋を間近に見てベレンに着く。あっという間だ。もし個人で行くのなら、例の音階のようなカイス・ド・ソドレ駅からコスタ・ド・ソル方面(エストリル、カスカイスなど)の国鉄に乗ればよい。10分でベレン駅に着く。ただし急行は止まらないとのこと。品川から蒲田に行くという感じだろう。


 ベレン地区は、テージョ川の河口部といってよい。大航海時代に港のあった場所だ。その後、港は上流に移り、ペソアの時代には、3キロほど上ったアルカンタラの桟橋が旅行者のゲートインとなっている。

 川沿いを鉄道と並走する幹線道は、その桟橋あたりで、7月24日通りと呼ばれている。小説「7月24日通り」(吉田修一/著 新潮社/刊 2004年 初出は「小説新潮 同年10月号・11月号」)は、この通りなどリスボンのあちこちに見立てた、長崎のとある町(映画「7月24日通りのクリスマス」ではずばり長崎)を舞台にした物語だ。
 夢見がちなOLが主人公のラブロマンスで、映画では中谷美紀さんが、硬軟入り交えて巧みに演じている。
 わたしは、メガネをかけた彼女が、生まれ育ち今働いている街を、リスボンの街に見立て、その上に夢を膨らませる前半部が面白かった。映画の後半は、クリスマスという設定が辛い。雪とリスボンは合いづらい。
 さらに、現実のこの通りは、ラブロマンスとは程遠い産業道路だ。

 まあ、読者や鑑賞者は、この主人公(小百合/サユリ)がまだ見ぬリスボンを模して現実の世界を飾ったように、イメージの世界で泳げばよい。

◆参照 「書籍 7月24日通り」(2006年12月18日(月) 15:00 UTC の版)『新潮社 > 書籍 > 書籍詳細:7月24日通り』
http://www.shinchosha.co.jp/book/462803/
◆参照 「映画 7月24日通りのクリスマス」(2006年12月18日(月) 15:00 UTC の版)『7月24日通りのクリスマス』
http://www.724-christmas.com/index.html


 あの4月25日橋と同様、日付をネーミングしたこの大道だが、その由来は、 [30 リスボン街歩き_3 リベルダーデ通り ロシオ広場] で書いたように、ペドロ4世(ブラジル皇帝ペドロ1世。マリア2世の父君)が、弟である絶対君主保守反動政治を行うミゲルからリスボンを奪回した記念日1833年7月24日とのこと。軍のリーダーのテルセイラ公爵を称えたロータリーがあり、そこが7月24日通りの起点である。


 ロータリーが出たついでに書いておく。日本では駅前ロータリーなどの言い方で、多方向からの道路が交差するところをさすことが多い。
 この一方通行の円周道路は、もともとは、馬車の往来を制御するため、鋭角のコーナリングや後退をすることができない馬車を滑らかに捌く仕組みである。ただしロータリー=回転式というのは、わが国での言い回しで、欧州では、Round about (ラウンドアバウト)という。ポルトガルでも、都市部の大きな交差点は、信号機のある普通の四つ角なのだが、幹線から支線に入って目的地に進入するところなどは、結構このラウンドアバウトを見かけた。減速はするものの、ここには止まらずに進入して、時には一周して(これは、Uターンの場合)出て行く。
 信号待ちのイライラ感はないが、進入したとき、周回している先客に道を譲るというルールが徹底しないと成り立たない交通システムだ。


◆参照 「駐在員・見てある記 UK・Now 英国流交差システム」(2006年12月18日(月) 15:00 UTC の版)『社団法人日本自動車工業会 > ライブラリー > JAMAGAZINE > 1998年5月号』
http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/199805/18.html
◆参照 「aboutロータリー交差点(ラウンドアバウト)」(2006年12月18日(月) 15:00 UTC の版)『洋洋的道路設計の広場 > 道路なんでもアリーナ』
http://www.civiltec.co.jp/roadarena/rotary.html

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2006.12.19 00:15:35

 おととい12月11日、ポルトガル人の魂を歌える唯一人の日本人歌手−月田秀子さんの歌を聴くことができました。
 しかも、ギター(ヴィオーラ)蓮見昭夫さんと、ヴァイオリン fumikoさんの伴奏つきで。

 お名前こそ知っていましたが、生でじっくり聴け、かつ、お話ができるとは思いませんでした。

「Fado=サウダーデ=哀愁の歌 と決め付けてはいけません。
 沈みそうな心を奮い立たせるような歌もあります。
 そんな歌も今夜は歌います。
 そしてなにより、覚えておいてもらいたいのは、
 ファドは歌ですから、生きていて絶えず変化しているということです」

と語ってくれました。
 
 確かに、彼女のサイトには、

   懐かしくも、やるせなく、いたたまれない様な、
   身を焦がすような想い
 
   その想いをファドに託して歌い、聴くことによって、
   その悲しみを乗り越えてゆく

   それは、生きていくために
   名もなき人達が産み出した知恵であるのかもしれない

   人生に傷つき、孤独で悲しい思いをしているのは、
   決して自分だけではないのだ

   人々はファドを通して、悲しみを共有する

   そして自らの運命を受け入れる

   ファドと言う言葉は、運命という意味でもある

 と記してありました。

 歌はもとより、ギターもヴァイオリンも、その音色が会場に響くのですが、水を打った静けさという雰囲気ではないのです。温かなのに、すこし潮からい、なにかが会場を包み込んだというような感覚でした。

 じんとしみこむ師走のプレゼントをありがとうございました。


◆参照 「月田秀子」(2006年12月13日(水) 03:00 UTC の版)『月田秀子ファド倶楽部 TSUQUIDA HIDECO FADO CLUBE』 http://www.fado.jp

◆参照 「蓮見昭夫」(2006年12月13日(水) 03:00 UTC の版)『蓮見昭夫ホームページ』 http://members2.jcom.home.ne.jp/akio-hasumi/

◆参照 「fumiko」(2006年12月13日(水) 03:00 UTC の版)『f から生まれるセンティメント・ヴァイオリン』 http://www.universal-music.co.jp/classics/j_classic/fumiko/


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2006.12.13 12:19:50

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 10月18日 20時30分

 ブラジルにサンバ、アルゼンチンにタンゴがあるように、ポルトガルにはファドという特有の音楽がある。民族音楽なのか民俗音楽というのか、わからないが、はたまた、当世風にはワールドミュージックに入れていいのかもわからない。正直な話、このツアーが決まりガイドブックを読むまで、この「ファド」という名前すら知らなかった。
 
 ただ、本やネットで見ていくと、胴にくびれがないまん丸なギター(ギターラ)や、黒づくめの歌い手の衣装は確かに見たことがある。そして何より、曲の調べは印象深く、ずっと前から知っていたような感覚にとらわれた。
 音なので既視感とするのは正しくないが、「この音楽を、あの情況で聞いたことがある」という映像を伴った不思議な心理にとらわれるのだ。
 隠やかな小春日和の午後、瑠璃(ガラス)ごしに、暖かな陽光が注ぐ食堂で見た、赤や緑が妖しく光る切子のコップ。50年近く前、母に抱かれた私が見た風景。
 あるいは、駅前の繁華街、すこし路地裏の玉撞き屋。「ビフテキ」の看板の洋食屋。やはり父に肩車された私が見た風景。「三丁目の夕日」の、そんな情況をだ。

 
 たぶん、日本で(世界でも、だろう)もっとも知られるファドの歌い手は、女王アマリア・ロドリゲスで、彼女の代表曲が「暗いはしけ」(原題は Barco Negro 黒い小舟)だろう。ベスト盤CDで聞いてみる。確かにこの曲は聞き覚えがある。だが、わたしの既視感は「Lisboa a noite リスボンの夜」という歌だ。50年近く昔の、セピアの色すら剥げかかった微かな記憶。

◆参照 「アマリア・ロドリゲス」(2006年12月7日(木) 10:00 UTC の版)『Amalia estranha forma de vida』 http://www.amalia.com/



 ファド・レストラン Adega Machado (Rua do Norte 91 Bairro Alto)に向かう。ついさきほど下り上り歩いた、リベルダーデ通りの西側、バイロ・アルト Bairro Alto (=高い地区)の、カモンイス広場の近くでバスを降りる。8時過ぎだが、店内のお客は数人。広くはないがエンジと黒ベースの落ち着いた客席に、椅子がどれくらいあるだろうか、飾り気のない椅子が密に置いてあり、70-80人くらい入りそうだ。大衆酒場に近いが、わずかに高くなったステージと壁の絵が、ファドレストランだといっている。

 このツアー好例の、メニュー撮影会が始まる。エプロンというより割烹着といったほうがぴったりのお母さんが給仕をしてくれる。定番メニューのカルド・ヴェルデ( Caldo Verde ジャガイモのとけた味噌汁のようなスープ)、バカリャウ・ア・ブラス( Bacalhau a Bras 鱈と玉葱、ジャガイモのおじや)、タコのサラダ( Salada de Polvo )などを撮影している。このおじや、もう一度他所でも食すが、卵でとじてあって、たいへんに美味い。そこではお米が多く入っていて、完璧に宴会の締めのメニューだ。
 壁にかかるたくさんの写真。ご婦人はみなアマリアに見えるが、新旧いろいろなポートレートが飾ってある。モノクロのいい味が出ている写真は面白い。これはぼくの爺さんだ という客もいるのだろうな。

◆参照 「ファド・レストラン Adega Machado」(2006年12月7日(木) 10:00 UTC の版)『Enterprise Architecture Practitioners Conference Lisbon 2006>Events』 http://www.opengroup.org/lisbon2006/event.html


 そうこうするうち、カップルも連れ添い、団体客も入り、あっという間に、満席となる。こういったジャンルの歌ゆえ、若いお客は少ない。30歳代以上だが、正装はしていない。みなカジュアルな装いで来ている。
 同じようにあちらこちらをカメラで写しながらも、ワインを空け、オリーブの実を抓んでいる。日本人でいうナッツ類か。メインに入る前の白ワインを飲んでいる時分に抓むのが、わたしの舌には合う。

 どのテーブルも前菜が終わり、ワインもだいぶ開いたころ、恰幅のよいお父さん歌手(ファディスト)が、ギターA、Bを伴い、ステージに上がる。ギターAは、例の丸いギターラだ。(普通の、胴がくびれたものは「ヴィオーラ」というそうだ)
 片手をポケットに入れて歌うのがスタイルらしい。よく通る声で、朗々と。何も哀しそうに聞こえない。カンツォーネですね、これって。僚友がささやく。確かに。
 もっとも、葡人のお客様を 「 "ENKA"とは、切ない思いを苦いビールで飲み干す世界さ」と連れて行った縄のれんで、「祭りだ 祭りだ 祭りだ豊年祭り」とか「人生はワンツーパンチ」と有線が流れても、これも演歌 といいながらビールを注ぐだろう。これでいいのだ。

 数曲歌い上げて、満場の拍手を浴びてお父さんだけ降壇。バックヤードに戻って、お母さんファディスタを連れてくる。照明が紅いものに変わる。いよいよサウダーデ(哀愁・郷愁)の世界である。曲名は知らないが、CDで聞いた何曲かも歌う。アコーディオが加わって、お客さんも参加するにぎやかなショータイムもあり、喜びあり哀しみありの時間が流れる。何人か歌い手が替わるインターバルで、われわれは席を立った。

 もし、ひとり、酒場にいたら、また違うだろう。司馬遼太郎さんのいう、海に出て行った男に取り残された女が、子を育て、衣類を洗いながら淋しさを歌う情況が、少しも歌詞が分からなくても、見えてくるのだろうか。
 取材二日目の夜が闇に熔けてゆく。



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2006.12.07 19:28:17

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