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From:  一久

【リヴァイアサン 読了】

 「リヴァイアサン」(ホッブス)を読み終えました。


 「万人の万人に対する戦争状態」という有名な言葉は、もし国家(コモンウエルス)がなかったならば、各人が我欲のままに行動して、収拾のつかない状態になるという意味であり、いわば、原始状態のことであるようだ。

 そこで、国家成立後は、国家の主権者にのみ暴力を行使する(対外的にも国内的にも)権限を残し、一般構成員はそれに従う義務を負う。その見返りとして、国家からの保護を得て、たとえば理不尽な隣人からの横暴を排除してもらうことができる。

 ここまでは、我々にも簡単に理解できる。が、ホッブスと現代日本に住む我々との考えの違いは、ここから先にある。ホッブスは、為政者に逆らったり、彼を批判したりしてはいけないというのだ。そんなことをすれば「万人の万人に対する戦争状態」に戻ってしまうのだ、とホッブスはいう。

 だが、我々現代に住む日本人は、そうは思っていない。むしろ、為政者を批判し環視することによってこそ、彼等の横暴を抑えることができるのであるし、政権交代可能な野党を持つことによってこそ、よりよい政府を育てることができると信じている。

 この違いは、単にホッブスが時代後れになったから生じているのではない。ホッブスのいうコモンウェルスと、我々の住む日本国とでは、国家としてのな成熟度が違うことに原因があるように思う。

 たとえば、イラクの今を見るとき、我々の常識よりもホッブスの意見のほうが、むしろ適合するのではないだろうか。イラクにおいては、政権交代可能な政党を持つことよりも、国民が服従する政府を作ることのほうが有意義であるように思える。まさにそれが出来ていないからこそ、あのような「万人の万人に対する戦争状態」にあるのだとホッブスなら言うであろう。サダム・フセインのほうが、国民に反抗を許さなかったぶんだけ、政治を良く理解していたのだ、と。

 なぜこうも違うのだろうか。

 日本や英米において、野党やマスコミや国民一般のする為政者批判というものは、単に為政者を批判しているのであって、国家そのものを否定するものではないからだと思われる。それがなにより証拠には、日本において選挙をボイコットする大政党は存在しない。選挙という国家行事を通じて、国民は政府に服従しているのである。選挙によって誕生する新たな政府に対する服従という前提条件の上に、言論の自由も、為政者への批判も成立している。選挙に負けた側が、暴力に訴えて反逆することなど有り得ないのだ。

 「主権者」という言葉の使い方が、このことを暗喩的に表現している。日本国憲法の主権者は国民であるが、ホッブスの著書における主権者は共和制の場合でも国民ではなく、国民に選ばれた者、いまの日本で言えば「国会議員」であり、内閣であり政府与党である。為政者が主権者である、というのがホッブスの世界観である。

 日本においては、国民が主権者としての国民に反逆することは有り得ない。「主権者としての国民の意志」とは、唯一、選挙による投票結果である。これに公然と反対し、選挙によって誕生した新議会を認めない、などという人は、日本にはいないだろう。つまり、日本人は主権者(国民)に完全に服従しているということなのである。

 対して、イラクでも、その他の途上国においても、選挙そのもののボイコットや、選挙結果の無効を訴える勢力は少なくない。彼らは「主権者たる国民」に服従していない。為政者を主権者だと勘違いし、その為政者が気に入らないと武力を以て反抗しようとする。このような国家においては、ホッブス流に、反抗する勢力をすべて武力鎮圧し、為政者を批判することを許さない政策こそがより適切であると言わねばなるまい。

 前々回のアメリカ大統領選挙は、誰が見ても集計結果に疑問が残るものであった。ブッシュが本当に勝ったのかと問われれば、誰もが自身を持って「そうだ」とは言えないだろう。だが、それにも関わらず、アメリカで民主党が暴動を起こすことなどはなかった。第二次南北戦争などはおこらなかった。アメリカ人が選挙結果という「主権者たる国民の意志」に服従しているからだ。


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2006.04.21 22:42:34

From:  一久

【小学校から英語教育】

 賛成派にも反対派にも、なにやら小難しい理屈や理念を語る人が多いようだが、所詮は子供の英語ではないか。もっと楽に、”お遊戯”の一種として考えたほうがいいのではないだろうか。

 英語教育といえば、誰もが知っていながら言わない「大問題」があると思う。それはなにかと訪ねたら、

 「英語教師の日本語には、例外なく”英語なまり”がある」

 ということである。いや、本当に「英語なまり」なのかどうかさえ疑わしい、怪しげな「なまり」が彼らにはある。小学校から英語の発音をたたき込むのはいいが、その結果、日本人全員を英語教師のような”ケッタイな英語なまり”にしてしまうことになりはしないか。それぐらいならばまだしも、竹村健一氏のように、”大阪弁の英語”をしゃべったほうがマシなのではなかろうか? 日本語なまりのある外国語を話すことは仕方がないが、外国語なまりの母国語を話すことは植民地人以下の境遇に身を落すことになるのではないか?

【そんなに悪くない従来の英語教育】

森一郎氏が「試験に出る英単語」で喝破したことは、日本の大学が受験生に求めている英語とは、英語の学術文献を読むための基礎英語であるということだった。つまり、欧米の先端技術・学問を取り入れるための英語である。海外旅行や外国人の道案内をするための英語ではない。もっと、知的で高度な内容を理解する為の英語なのである。

 大学教授が海外出張先のレストランで英会話が出来ずに腹を空かしていても日本国の損失にはならないが、この教授が学術論文の英語を理解出来なかったら、国家的損失になる。日本の大学や政府が求めた英語とは、まさにこのための英語なのだ。

 ただ、時代は変わり、日本は欧米から輸入するだけではなく、むしろ学術も技術も輸出する時代になってきた。そのために、今度は「論文を発表するための英語」が求められている。ただし、日本がかつて輸入する為の英語習得に励んだように、日本の技術を輸入しようとすれば相手側が日本語を学ぶことが筋である。英語での発表力を向上させるといっても、それほどムキになるようなことではないのだ。そもそも、学術論文の審査で、英語表現の適不適などを考慮していたら、筆が進むまい。日本語での論文が世界で流通するように制度を整えることこそが本筋なのだ。

【歌でもやってみそ】

 小学校からの英語教育を、どうしてもやってみたいというのであれば、「英語の歌」でもやればいい。戦後まもないころの中学校の英語の授業では、結構、歌もやっていたそうだし、作家の宮城谷昌光氏(英文科卒、雌伏時代は英語塾教師)によると、英語教育は歌から入るのがいいそうだから、案外面白いかもしれない。

 今でも、中学校の教科書の後ろのほうには、英語の歌が載っているはずだが、授業でやっている学校がどれぐらいあるであろうか。


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2006.04.09 21:32:51

From:  一久


【リヴァイアサン 感想 T】

 ようやく、半分を超えたところだが、これまでの内容で気になったことを述べておこう。

【万人の万人に対する戦争状態】

 ホッブスのリヴァイアサンといえばこの言葉であるが、実際にこの本を読んでみると解るけれども、ホッブスが言っているのは、主に、原始状態の社会についてのことであり、学校の教科書で教えているような自由民権風の意味あいは薄いようである。

 つまり、どんな国家であれ、国家のない状態よりはマシな社会である、という程度の意味でしかない。共和制を賛美するものでも、けなすものでもないのだ。実際、この著書において、君主制も共和制も、同列に検証の対象として扱われている。

 国家のある状態のほうが国家のない状態よりはるかにマシ、という主張は、いわばあたりまえのことである。しかし、ホッブスぐらい知っているという人の中で、「万人に対する戦争」という言葉を、そのような意味で理解している人はどのくらいいるのであろうか。

 というのは、「なぜ人を殺してはいけないのか」と問う者に対して、もしもホッブスのこの言葉を理解していたならば、一笑に伏せるはずだからである。そんな”自由”を認めれば、万人の万人に対する戦争状態になって、阿鼻叫喚の社会になってしまうのだ、と。

このホッブスの言葉は、いやしくも政治や社会について何かを述べようという人であれば、知らぬ者はいないはずである。にも関わらず、上のような対応ができないというのは、理解していないからだというほかないだろう。

 古典を読む価値のひとつは、まさにここにある。あまりに有名な著書であるがゆえに、実際に読んでもいないくせに分かった気になってしまう。教科書に載っているデフォルメされた言葉を信じ、真実の言葉を見ようともしなくなる。それでは、ワイドショーのタレント司会者氏と同じではないか。


【大き過ぎる贈り物は憎悪を生む】


 ホッブスが定義する言葉のなかに、このようなものがあった。大き過ぎる贈り物は、贈られた側からの憎悪を買う結果になるというのだ。なぜならば、お返しをするあてのない贈与は、自分が贈り主よりも劣っていることを自覚させるものだから。

 なるほど、韓国・中国の反日感情のひとつも、ここにあるのかもしれない。台湾がそうでないのも、韓国や中国ほどには日本からの援助の利益に与ることができなかったせいであるのかもしれない。日本人は、中国や韓国に対する戰後の援助や協力の大きさを言うが、それはまさに彼らにとっては触れられたくない過去なのであろう。

 日本自身も、かつてアメリカから多大な援助を得た。そのころの日本人には、今よりも多くの反米感情があったであろう。ところが、日本経済が発達し、十分に借りを返した現代の若者の間においては、反米感情というものは見る影もない。アメリカの不条理や自分勝手を責める声はあっても、それは決して反米感情というような軽薄なものではない。むしろ、アメリカが圧倒的な経済力を誇った時代に育った老人達にこそ、その種の感情論を吐く人が少なくない。


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2006.04.09 20:25:05

From:  一久

【自民党の求心力】

 自民党も民主党と同様、様々な意見を持った人の寄り合い所帯であるが、民主党と違うのは「政権」とそれに伴う「利権」という求心力を持つことだ、とかTV論客氏らはいう。が、それだけではない。というか、利権による求心力で集っている人もいるが、それ以外の求心力もある。そういうものに引かれて自民党にいる人もいるのである。

 それはなにかというと、目立つということ。自民党の議員として何かを言えば、それだけでよく目立つ。自分の意見を世間に知らしめることができる。たとえ党内の少数派として自分の意見が通らなくても、アピールする機会には恵まれる。そのために党に所属するのだ。

 本来、二大政党制のような全体の国民を代表する政党というものはそういう機能でこそ結びついているべきものであるのだから、彼らのような考え方は全く正当である。

 その代表格が、小泉首相その人である。彼がピンチに際していつもいう言葉は、「いやなら小泉を辞めさせればいいじゃないか」というものである。マスコミや古い政治家達は、これを単なる恫喝や居直りとしてしか見ていないようだが、じつはこれこそ小泉氏の本心である。自分の意見をアピールする為に政党に所属している彼にとっては、辞めさせられても、それによって自分の意見が世間に知れ渡るのであれば、それだけで満足できるのである。

 小泉氏よりもさらに自覚の薄い例としては、杉村太蔵氏が挙げられよう。「料亭に行きたい」という言葉は、自民党議員が言うから世間にアピールした。

 逆に、このような結びつき方を全く理解できないのが、亀井静氏であろう。政権・利権による結びつきしか考えられない彼には、「小泉は結局は頭を下げて来る」としか思えなかったし、自民党を追い出されるとも考えられなかった。それが政権の維持を最優先するものにとっては当然のことだったからだ。

 だが、小泉氏にとっての政党とは、利権の求心力ではなく、自己アピールの場としての求心力として存在するものである。だから、反対することには問題はない。小泉自身ずっと、反対派少数勢力だったのだから。だが、党議拘束には従わねばならない。それを破るものを許すことはできない。「批判は自由である。されど服従せよ」ということだ。

 民主党にないのは、利権の求心力だけではない。アピールする場所としての求心力もまた、同党にはないものだ。各自が意見を自由にぶつけ合えば、分裂してしまうのではないかという妄想に怯えて、自由な討議ができない政党になってしまっている。それによって、アピールする場所としての魅力を失ってしまっている。永田氏のような拙速が起こる根本原因もまた、ここにあるのではないか。

 政党内において十分に意見を闘わせることができない議員達は、自己アピールの場所として唯一許された相手、すなわち政府自民党に鬱憤をぶつけるしかない。話を聞いてくれるのは自民党だけだという倒錯した事態に彼らは置かれているのだ。


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2006.04.08 22:19:46

From:  一久

【うまうまと自民の戦略に掛かった民主党】

 昔、秦が趙を攻めたとき、趙の宿将・廉頗の前に、戦線は膠着を余儀なくされた。困った秦国は、謀略をもって廉頗将軍を交代させることを目論んだ。「秦が決戦を挑まないのは、廉頗を倒せば趙括がでて来る。秦は趙括の軍事的天才を恐れているのだ」という噂を趙国内に流すという方法によってである。

 趙括とは、かつて秦と決戦して大打撃を与えた趙の名将・趙奢の息子である。趙括は名将である父と何度も図上演習で戦い、常に父を打ち負かした。そのことから、国内外にその天才ぶりは知れ渡っていた。(この時期には、すでに趙奢は亡くなっている)

 廉頗がなかなか決戦を行なわないことに苛立っていた趙の政府は、この噂にのせられて実践経験の無いに等しい趙括を指揮官に据え、廉頗を解任する。結果、趙は大敗し、以後、秦に対して無力となる。秦による天下統一の大きな足掛かりとなる戦いであった。

【小沢氏と趙括は同じ】

 自民党が、小沢氏を嫌がってみせるのは、秦が趙括を恐れてみせたのと同じことである。

 民主党は、その謀略に簡単に引っ掛かってしまった。自民党にとって小沢氏は決して手ごわい相手などではない。前原氏よりもずっと与し易い相手である。たとえば、靖国参拝問題ひとつとっても、小沢氏は非常に危うい常態にあることが解るだろう。政権をとり、総理大臣になったら小沢氏は参拝するのかどうか問うてみればいい。

 「参拝しない」と答えたら、前原氏と同じだとみなされよう。「参拝する」と答えたら、党内左派が離反するだろう。「仮定の問題には答えられない」と答弁すれば、優柔不断と言われよう。どのように答えても、小沢氏は簡単に窮地に追い込まれるのである。靖国問題一本で、小沢氏を政治的に殺すことができるのである。

【小沢氏の真意】

 小沢氏自身は、この程度のことを理解していないはずはない。にもかかわらず、民主党の代表になったのはなぜだろうか。思うにそれは、民主党をぶっ壊す為ではないだろうか。まさしく「壊し屋」の本領発揮である。民主党をぶっ壊し、民主党右派と小泉後の自民党右派を糾合して、新政党による政権交代の実現を模索しているのではないか。

 民主党をふたつに割り、その岩塊を自民党にぶつけて自民党も割る。両方を割った上で新たな巨岩政党を創り出す。小沢氏の真の目的はそこにあると思われる。


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2006.04.08 20:57:35

From:  一久

4・5・6月度 読書会・課題図書

 以前の予告通り、ホッブス著

「リヴァイアサン」

(あるいは、教会的および政治的コモンウェルスの素材、形体および権力)

 とします。

 私は、中央公論社 「世界の名著 ホッブス」を使いますが、それ以外の出版社のものでも、もちろんOKです。

 しかし、結構な量であります。この機会に、ぜひ一読を。

いわゆる「荒らし」や「独善者」と、そうでない人との違いは「学ぶと学ばざるとにあり」。ネット上で知り得た書物について、自ら読んでみようという探究心・向上心を持っているかどうかで、その人がマトモかそうでないかが決まる。この告示を見た貴方が好学の士であられることを。


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2006.04.01 20:27:26

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